「ChatGPTを改善するためにOpenAIが時給300円以下でケニア人を雇った」と問題視する報道

「ChatGPTを改善するためにOpenAIが時給300円以下でケニア人を雇った」と問題視する報道

AI研究団体のOpenAIが、対話型AIの「ChatGPT」をより安全に使用できるようにするため、ケニアの労働者を時給2ドル(約260円)以下で雇い、データセットに使われる膨大な量のテキストから有害なコンテンツをフィルタリングさせる作業を行わせていたと報じられています。

ポルノや斬首画像をタグ付けし続け、月給2万円…「AI」機械学習の闇

ポルノや斬首画像をタグ付けし続け、月給2万円…「AI」機械学習の闇 | アマゾンやマイクロソフトから受注するインド企業に潜入取材

しかしながら、テック企業の幹部はAIを学習させるために使われているのが「労働集約型プロセス」だという事実を明かさない。AIは人間から「学習」している──膨大な数の人間を介して。

ChatGPTの闇、AIのために働く低賃金の人間

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過去の報道では、OpenAIはラベリングをアフリカに外注、**時給2ドル(約270円)**という価格で労働者を募っていました。

殺人や拷問、性的暴行などのコンテンツをフィルタリングする仕事で、精神的苦痛を伴うものでした。これは「倫理的なAIサプライチェーン」をうたう派遣会社Samaとの契約によるものですが、倫理的といいつつ、実態は発展途上国の低賃金労働者と巨大なテック企業を繋ぐのが実情といったところ。

AI産業発展の陰に潜む児童労働──有害コンテンツを含むデータラベリングの実態

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未成年の時、UHRSでのコンテンツ・モデレーション作業がメンタルヘルスに重くのしかかったとハッサンは振り返る。露骨な内容のコンテンツが多かったのだ。それらは、裁判記録を基にした記事から引用されたレイプ事件の記述や殺人事件の記述、ソーシャルメディアへの投稿から引用されたヘイトスピーチ、未成年の性的な画像、成人女性の裸の画像、YouTubeやTikTokから引用された女性や少女のアダルトビデオなどだったという。

「AIは何でもできる“魔法の箱”のように紹介されています」と、ノースイースタン大学シビックAI研究所所長サイフ・サベージは言う。「人々はただ、舞台裏に人間の労働者がいることを知りません」

その中には子どももいる。

AIの訓練のために… 新興国の10代の若者たちがトラウマになるようなコンテンツにさらされている

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